S7000の始めての撮影は、快晴の屋外であった。撮影条件は最適であったのでホワイトバランスはオート、露光はマニュアルで30カットほど撮影した。そして、その画像データーをパソコンで開いた瞬間!

何じゃこりゃ〜 (C14)

 この「何じゃこりゃ〜」は、管理人の37年間の撮影経験で、かつて体験したことのない、余りにも異様な発色に驚嘆したのである。
 画像の雰囲気が、「どよーん!」として重苦しい。色彩の分離も悪い。色調が全体にグリーンがかっているが、単純なカラーバランスの偏りとは違うと感じた。当然、全て補正しなければ使い物にならなかった。そしてこの色問題を検証した結果、数々の不具合が露呈した。以下に「検証の報告」および「問題の対策」、さらに「メーカーの対応」などを報告する。なお、この問題は、カラースペースの狭い、並みの液晶モニターでは明確に確認できないかも知れない。これから公開する諸問題は、性能限界(高輝度等)、自動機能の誤差(オートWB等)、ユーザーの設定ミスなどに全く関与していないことを宣言する。
F社製デジタルカメラS7000の
青色問題とグリーン被りを検証する
The blue problem of the digital camera S7000 by F company is verified.
シアンブルーがエメラルドグリーン色に写る ・・・?
A blue color is turned out to an emerald green color.
ホワイトバランスがグリーン被りして写る ・・・?
The white balance is dyed to green.

2003年10月にF社から発売されたS7000は、600万画素の高機能カメラで、レンズなども、このクラスとしては良いものが装着されており、口腔外科用のカメラにも採用され、その撮影に使用されるマクロモードのテレ側は図形歪み色収差とも低く抑えられ、実売価格以上の価値を感じさせるカメラだ。

しかし、残念なことに設計過程の色調判断で重大な見落としをしてしまったようだ。それは特定の青色域で異常な発色(エメラルドグリーン色)が見られることと、ホワイトバランスにグリーン被りがあり、色調全域がグリーン色に片寄っている。製造メーカーはそれぞれのポリシーに基づき、仕上がりの色を演出しているが、この特異な発色は、そのような考えの元で演出されたとは思えず、実際にこの特異な発色による有用性はまったく認める事ができなかった。なお、この特異な発色は蛍光灯光源下で発生せず、太陽光やストロボライト光等のデーライトで確認している。

F社はデーライトの撮影テストを屋外であまりやらないようだ。写真用デーライト蛍光灯を大量に取り付けた部屋(評価室)を疑似屋外としてカメラテストをしている。写真用デーライト蛍光灯の光質は太陽光の代用になり、フイルムではそれなりに写る。しかし、太陽光は黒体反射のある色温度の光りに対して、蛍光灯はスパイク状の輝線が集中と分散した光りである。つまりベクトルの形がまるで違う。この違いは、撮像するセンサーに影響をもたらし、発色を変化させる。F社はこれをよく理解しておらす、上記の疑似屋外で得たサンプルで製品となる色(デーライト)を決定したのであろう。蛍光灯光源下の撮影で「青色問題」が発生しない事実からしてもそれを物語っている。

このS7000はS602の後継機として発売されたものであるが、そのS602には、このような特異な発色は見られず、実際の色に近い色調であり問題となっていない。

Although S602 is the old model machine of S7000, coloring uniquely like S7000 is not seen. S602 is a color tone near the actual color.


異 常 発 色 の 実 際

検 証 その1 (正常な発色をするS602との比較)


薄青色したマック人形をS7000とS602とで撮影しその画像を比較した。
最初の表示はS7000の画像であり、画像にポインターをのせると、S602の画像に切替る。
The comparison picture of S7000 and S602 is shown below.
If a pointer is put on a picture, it will change to the picture of S602.

picture by S7000 picture by S602
一般的に上記マック人形の元色がどのような色か認知し難いので、S7000を購入した方なら所有しているであろうS7000の梱包箱が青色であることからこれを検証材料として、S7000とS602の2機種で撮影したのが上の画像である。この二つの画像は、内蔵ストロボを使用して、同一条件で撮影されている。 この梱包箱を所有している人なら、S602の発色が正常と認めることができる。

梱包箱の背景となっている灰色は片寄りのない中性な灰色であるが、S7000で撮影されたこの背景はグリーン色に片寄っていて中性な灰色ではない。これがグリーン被りである。青色部分にもグリーン色が被り、これに青色問題の色調の歪みも加わり、異常な発色となっている。


検 証 その2 (RAWファイルで現像の比較をする)


最初の表示画像は、「 HS−V2 」で現像されたもの。画像にポインターをのせると、「 s7raw 」で現像された画像に切り替わる。

F社製の現像ソフトである、「 HS−V2 」で手を加えずそのまま現像出力したのであるが、先の例と同じように、青色の特異な発色は解決出来なかった。RAWと言いながら「 HS−V2 」では、真の生データーを出力できない、つまり、カメラ内部と同等の不適切な処理がされてしまうのである。

そこで適当なRAWファイルコンバータをWEBで探したら、「 s7raw 」 というソフトを見つけ、早速現像して見ると・・・どうだろう・・・青色問題は解決したのである(Photoshop のRAW現像でも同様の結果で問題はなかった)。

The picture shown below was photoed by 2 models, S602 and S7000, using the built-in stroboscope. These two pictures are photoed on the same conditions. The proper color tone is S602.


検 証 その3 (リンク先のフレームはセルを広げてご覧ください)

他社製カメラとの比較で見るグリーン被りの例 (上のフレームに表示されます)
解り易いグリーン被りの事例はこちら (上のフレームに表示されます)
F社は専門知識なしに色造りをしているという根拠 (上のフレームに表示されます)
どの程度に、シアン色がグリーン色に変化するかという数値データー
この青色問題は、 dpreview.com (デプレビュー)でも検証されています。


F社が健全な企業に成長することを願って、このページを公開しました
昔、蛍光灯光源下の撮影に2枚以上の補正フィルターが必要で、その復数枚のフィルター間で反射を起こし、ゴーストが写り悩まされました。そこでカメラマンはF社に、この復数枚のフィルターを1枚にできないかと相談し補正データーを提供しました。そしたら時間はかかりましたが蛍光灯補正専用のフィルターを商品化してくれた企業なのです。 そして現在、デジタルカメラに始まる色の問題は以前より忠告していたのですが、S7000で最悪の結果を招いたようです。

このような画質劣化はこれまでのF社製品になかったことです。グリーン被りは絶えず付きまとう問題であり、一部の青色がグリーンに偏って発色することは、色が題材になる撮影で明らかに影響し写真としての役目を達成できないのです。そしてこれら問題の改善を望み、数多くのデーターと共にF社に報告しました。

その後、F社から技術的な説明をしたいという申入れがあり、F社本社にて懇談会のような会議が開かれることになり、その時の条件として画像評価用のCRTモニターを用意して頂く約束をしましたが、懇談会の前日に「CRTモニターは用意できないので液晶モニターではどうか」と連絡を受けました。今回の色の問題は、液晶モニターで画像を評価して原因となっている疑念も一つにあり、強くCRTモニターでの評価を希望していたのです。しかしそれは実現できず、この懇談会は中止となりました。

それから数日後、F社の考えを示す手紙を頂きました。その内容は、懇談会が開かれず残念であること。色の問題は色々な条件を配慮した上での結果であり、許容の範囲であること。従って色の再設定は行わないこと。今後とも色の問題に限らず諸問題の解決に努力するというものです。

この手紙の内容で疑問に思ったのが、色の不具合に認識の差があるのではと感じたのです。そして後日その真意を確かめるべく、映像事業部の窓口担当者とお会いする約束をしました。そして当日、印刷して準備していた問題画像を確認して頂きました。そしてその結果は、提示されたとおりの現象あると認識していること。この全ては許容の範囲であることをF社の公式見解として確認しました。

このページを閲覧したS7000ユーザから、ここで示されている現象は、故障あるいは固体差の極端な劣化によって再現された画像であるから、自分の所有するS7000はこの問題に無縁であるとのご意見をお聞きします。しかし、このページで示した画像の現象はF社によって公式に認められたのです。故障でも固体差でもないのです。この問題を無縁と考えていたユーザは何時の日か経験するかも知れないことを保証されたのです。しかし、まだがっかりしないで下さい。先の窓口担当者との話し合いで、再度検討することを約束しましたので・・・・・つづく

つづき・・・・再検討の結果、「シアン系青色がエメラルドグリーンに発色する問題は対応できないが、ホワイトバランスでグリーン被りするのは、調整で対応する」というのでカメラを預けた。しかし、戻ってきたカメラは内蔵ストロボでのグリーン被りは軽減していたが、定常光では全く改善されていなかった。説明と違うので担当者に問い合せたところ、「確かに調整できると説明しましたが、不可能でした」というのである。F社の事前の説明で、調整は電気的ステップで行われているから、1ステップの中間点が最良点であった場合、最良点からいずれかに偏ざるを得ない。その偏った結果がグリーン被りの原因とした。そのような経緯から同じ偏るにしてもグリーン色にならないように再調整をお願いしたのである。

それにしても、この手の調整用電子ボリュームの刻みは8bit が普通であるから、それを階調に置き換えると255段階であり、その1ステップをパーセントに置換えると、約0.4%である。この0.4%でどれほどの色変化があるか、実際のところはほとんどその差は分からない。担当者が、「1ステップの中間点が最良点であった場合、最良点からいずれかに偏ざるを得ない」と説明したとき、でまかせのように感じた。何故なら、そのような調整用電子ボリューム(汎用品)を使用した回路の設計経験があるからである。

技術的問題で対応した担当者は自社製品の仕様を知らなかったのだろうか。しかし、この問題では事前に検討する時間が十分あった。しかも社内で検討した結果の対応であった筈だ。疑問に思うのは、一般に自社設計で、その設計担当者の対応があれば、このようなチグハグな結果にならないものである。
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