2.北の空の星座-『滅亡を知らぬもの』



 多くの星々が天空を横切り、やがては地平線に落ちていくのに、北天の一部の星は決して見えなくなることはなかった。この周極星は、先に述べたように、古代エジプトの人々にとって、方位を決める際の重要な目印であっただけでなく、常に地平線下に落ちないこの性質を、死に打ち勝って永遠の生を得ようとしている死者の象徴と考え、『滅亡を知らぬもの』と呼び、これらの星がある『北』には、永遠があると信じていた。下図は、セティ1世王墓の天井に描かれた北の空の星座の図である。デンデラのハトホル神殿の天球図にみられる様なバビロニア起源の星座が導入される前、古代エジプトの星座として、知られているのは、この北の空の僅かな星座位であり、いかに古代エジプトにおいて、これらの星たちが重要な意味を持っていたかが推測される。


 右の方で、鰐を背負っている直立した河馬が、トゥエリス女神。中央の牛と横になっている頭に円盤を乗せた人物が現在の北斗七星に相当すると言われている。 (河馬の方が大熊座であるという説もあり)。牛の下にいるホルス神は、牛に攻撃を仕掛けている。 また、左上の女神は、セルケト女神(通常、頭に蠍を載せた姿で表される女神)とされる。



INDEX
BACK GO

HOME  ChaosPanicホームページ へ  Back  『エジプトのこと』のページ へ

Mail このページについての、ご意見、ご感想は下記まで

(mizuchi@roy.hi-ho.ne.jp)
トゥエリス女神 ホルス神