5.シリウス星(天狼星)



 シリウス(天狼星)-大犬座のα星、全天で一番明るい星

 36のデカンに分けられた夜空の星々は、毎年10日間ずつ夜明けに地平線上に上った訳であるが、この中でもっとも明るかった星が、現在我々がシリウスと呼んでいる星である。 古代エジプト人は、この星をソプデトあるいはソティス女神として知られる女神と見ていた。

 しかし、シリウス星が古代エジプトにおいて、特別視されていたのは、単に一番明るい星であったからだけではない。 シリウス星が太陽に近接して、約70日程姿を隠した後、日の出直前に現れると、それから程なくして 彼らの生活に大きな影響を及ぼすナイルの増水が始まる現象が確認されたからである。 このシリウスが ヘリカアル・ライジング(日の出前出現)する日は、エジプト暦の元旦でもあった。 ユリウス暦でいうところの 7月19日頃である。 このソティスの出現と、ナイルの増水開始時期を元にした1年を365日という暦を古代エジプト人は、手に入れていたのである。  さらに、ヘリオポリスの創世神話によれば、トト神が月と争い、12の同じ日数からなる月の毎日の1/70を勝ち取り 月を元にした暦の一年360日に、この日を付け加えて、一年を365.1428日としたという。 この時代に、現在の暦の一年=365.2422日に 非常に近い暦の計算を行っていたというのは驚くべきことではないだろうか? もっとも、実際にファラオが使用した公式の暦は 何故か、1年=365日で、4年に1日のずれは考慮されておらず、元旦は、ソティスの出現、及びナイルの増水から 次第にずれた、これが、再び一致するまでの1460年(365*4)は、ソティス周期と呼ばれる。

 なお、ソティス日とシリススの出現がきちんと重なった記録として、紀元139年があり、これの逆算により、この ソティス暦の採用が、紀元前2781年あるいは紀元前4241年頃というのが候補とされている。
  

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