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この図は、王家の谷、ラムセス6世の墓の、天井に描かれた天体図、昼の書と夜の書と言われるものである。 右端の方に女性の顔が二つ対象に描かれている。 これが天空の女神ヌゥト女神。 上の女神の身体には星が描かれており、夜の空を表す『夜の書』、下の女神には太陽とが描かれており『昼の書』と呼ばれる。 『夜の書』の夜の空では、12時間に区切られた夜の世界を夜の船に乗った太陽が西から東に旅している。
古代エジプトでは、太陽(太陽神ラー)は『太陽の船』にのり現世と来世の空を巡っていると考えられていたのである。 また、天がこの図の様にヌゥト女神の姿で表されている場合、太陽が夕方になると天の女神ヌゥトの口に入り(この写真では不鮮明であるが、下の『昼の書』のヌゥト女神の口元には、今正に飲み込まれようとしている赤い太陽がある。)、夜の間は、彼女の胎内を旅し、翌朝生み出されると考えていたことを表している。 また、太陽だけでなく星々も同様に彼女の胎内を昼の間旅している。
なお、星々はヌゥト女神の衣服の飾りとして表されることもあった。 また、ヌゥト女神は、天の赤道近くに位置する星座を神格化した可能性もあるとも言われる。
この図の様に、太陽神ラーが、ヌゥト女神の胎内を旅する太陽円盤として描かれるとともに、太陽の船にのって、夜、冥界を旅する場面も同時に、王墓の天井に描かれ、同時に2通りの道を太陽は夜旅していたという、この矛盾は、当時、既に複数の考えがあり、混乱していた結果かもしれない。
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